「先生…ほんとに、ここで?」
「嘘なんて言わないさ。何か不満か?」
「だって…」
 私が重い引き戸を閉めて内側から鍵をかけると、遥香は明らかに動揺して、私の顔と室内に交互に目をやる。
「ここで、するんだよ」
 薄暗い体育倉庫の中は、埃と汗のにおいがする。跳び箱やボールの籠が雑然と置いてあるその中で、壁際に遥香を押し付け、私はその胸を乱暴に掴んだ。薄い夏物のブラウス越しに弾力のある乳房をこね回し、もう一方の手はスカートの中の腿をまさぐる。
「やっ…先生、やだ…ぁっ、痛いよ…」
 キッと私をにらんで抵抗する遥香だったが、いつもの強気より戸惑いが勝っている。まあ、私とて元々女の子の力に負ける訳はないけれど…普段よりも、より遥香の動きをおさえつけるように、強引にその体に両手を這い回らせ、彼女の〈感じる〉ポイントを刺激していく。
「でもお前が、『したい』って言ったんだろう?」
「学校でなんて思わなかったもん!ここでは、いや…ふぅ…んっ」
 押さえつけてくちづけると、さすがに静かになった。こわばっている体も、段々力が抜けてくる。
「ふぁ…む」
 おずおずと、遥香の舌も私を求めて動き出す。それを見計らって、ショーツに手を差し入れ、まだ硬い両の脚の間に指をうずめると、許すかのごとくひたひたと潤ってくるのがわかる。
 くちゅり、と私の太い指の間で、柔らかい肉が音を立てた。その淫猥な音をわざと大きく響かせる。くちゅ、くちゅ…ちゅくん。指の抜き挿しを、次第に早める。水音が聞こえるにつれ、遥香の体が合わせて、ぴく、と跳ねる。
 その指を不意に抜いて、彼女の目の前にかざした。
「あ…」
「こんなに、なってるのに『いや』か?」
 すでに上気した頬の彼女は、それを見てさらに赤くなった。指の間をたらたらと、透明で少し粘りのある愛液が滴る。
「そんなに…されたらなっちゃう、よ…」
 吊り気味の目がおどおどと伏せられる。いつもにない遥香の表情に、嗜虐心がいやがうえにも刺激される。
「さっきお前が言ったんだぞ…」
 私は、意地悪い口調で遥香の耳元で囁いた。
「先生とセックスしたい、って」
「ひぅ…っ」
 同時にじゅるりと耳たぶを甘噛みすると、遥香はぶるるっと身震いして、そしてかくりと私の肩に寄りかかった。
「そんないやらしいことを学校で言うようになったんだから、こういう所でも十分できる」
「どうしてそうなるのぉ…」
 遥香の制服は、脱がしたというほどでもなく乱れて。そして、真っ赤な顔で上目遣いに〈むーっ〉という顔で、彼女は私をにらんだ。
 自分で仕掛けたことなのに、思っていた以上にそれは可愛くて、私もほんとのところどきどきしてとまらないというか、その。
 この学校に赴任してからすぐに、遥香は私に声をかけてきた。右も左もわからないままの状況で、本当に遥香に純粋な意味で好かれているのかどうか、私は疑問だったが、程なく肉欲に溺れた私は、そのことは意識の後ろに押しやって、この子を抱いてきた。
 それで、いつもは主導権を握られていたので。この些細な〈報復〉で、ちょっとからかってやろうと思った、それだけなのに…。
「でも…あの、ね」
「うん?」
 私の胸の中で、遥香がもごもごと口ごもる。
「先生のしたいようにして、いいよ…なんか、なんかね」
 きゅっと背中に細い腕が回される。いつもしているのに、今日の遥香のそれはとてもあたたかくて。
「強引な先生も好き…かなって」
 ずぐん。心臓がはねた。
「じゃあものすごく酷いことをするかっ…てな」
「してもいいよ」
 冗談で言ったのに、真顔で返されると。 「めちゃくちゃに、されても、いいの。ほんとうに先生のこと好きだから、いいの。」
 校舎でチャイムが鳴った。同時に、ボールを打つ金属音と歓声が校庭から響いた。
「…後悔するなよ」
「しないよ…」
 キスは、甘く甘く痺れ。

やはり学校といえば体育倉庫、基本です。
たまには強気な子もいいですよね…でも結局は私のことなのでっ。そこ、砂を吐かないように。スミマセヌw
(2011/11)